昭和59(1984)年4月、教育研究所は「大学教育に関する基礎的・理論的研究、関連科学との学際的総合・臨床研究並びに武庫川学院の教育及びこれに関連する諸施策に関する調査研究を行うことを目的」とし、武庫川女子大学学長・武庫川学院長の日下晃所長のもとに設置されました。翌年の昭和60(1985)4月からは新堀通也が所長を引き継ぎ、以後20年間にわたり教育研究所の発展に尽力しました。平成17(2005)年4月には友田泰正が3代目所長となり、平成30(2018)年からは河合優年が4代目、令和6(2024)年からは教育総合研究所に名称が変更され、所長が志水宏吉に引き継がれ、今日に至っています。
創設期の教育研究所では、「大学授業」「私語」「大学における情報教育」などをテーマに、主として大学教育に関する研究を中心に行ってきました。臨床教育学研究科を設置した後には、「夜間大学院」「臨床教育学の体系と展開」といった大学院に関する研究、さらに学院からの要請を受けて「中高一貫教育」「武庫川女子大学短期大学部調査」、3ヵ年の継続研究となった「女子大学の存立意義」などをテーマとした共同研究に取り組んできました。本研究所の柱でもある女子大学研究は、海外の女子大学との比較研究に取り組み始めるなど、継続的に取り組んでいます。 これらの研究成果は、本研究所発行の『研究レポート』に随時、掲載されています。『研究レポート』は、2023年度に54号を発刊しました。
また、広く社会に学術研究の成果を還元するため、平成3(1991)年より毎年「学術講演会」を開催してきました。これは今日的な問題・課題をテーマとして取り上げ、そうしたテーマについて取り組んでいる研究者を講師として招いて講演をしていただくもので、学外の人々にも公開で実施し、社会的に関心の高いテーマを取り上げ、多くの人々に聴いてもらうことで、身近な問題に関する理解を促すとともに、広く議論を行うことを目的としてきました。さらに平成14(2002)年度より、教育研究の国際化に対応するべく国際セミナーを開催するなど、国内外の今日的な様々な課題について理解を深め、取り組んできました。
特筆すべきことは、先にも触れましたが、平成6(1994)年4月、教育を取り巻く様々な問題・課題に対応できる専門的職業人の養成をめざして、教育研究所を母体とした大学院臨床教育学研究科を設置したことです。これは日本で初めて作られた「臨床教育学」という名称を持つ研究科であるとともに、学部を持たない独立研究科であり、社会人を主たる対象とする男女共学の夜間大学院として創設されました。さらには、「教育臨床」に関する広範な問題・課題に対応するため、教育学、心理学、福祉学の三領域からなる学際的な研究科という特徴も併せもちます。この研究科の教育・研究を充実させるべく、臨床教育学研究科と教育研究所は緊密な連携をとっており、平成7(1995)年にはカウンセリング・ルームを教育研究所に設置し、大学院生の研修の場としても活用しました(現在、閉鎖)。修士課程創設3年後、平成9(1997)年には、より高度な研究能力を有した専門職業人と研究者の養成を行うべく、臨床教育学研究科博士後期課程を開設し、平成12(2000)年には初めての博士号(臨床教育学)を出しました。四半世紀を超える歴史の中で、500名を超える修了生を輩出してきました。
昭和59(1984)年4月 | 「武庫川学院教育研究所」開設。所長に日下晃就任 |
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昭和60(1985)年4月 | 所長に新堀通也就任 |
昭和63(1988)年9月 | 『研究レポート』の発刊(~現在) |
平成3(1991)年4月 | 本学文学一号館より現在の研究所棟に移転 |
平成3(1991)年10月 | 「学術講演会」の開催 |
平成4(1992)年4月 | 「武庫川女子大学教育研究所」に名称変更 |
平成6(1994)年4月 | 教育研究所を母体とした「武庫川女子大学大学院臨床教育学研究科」を設置 |
平成7(1995)10月 | 「武庫川女子大学教育研究所カウンセリング・ルーム」を設置 |
平成8(1996)年10月 | 研究所棟増築工事の竣工 |
平成9(1997)年4月 | 武庫川女子大学大学院臨床教育学研究科博士後期課程設置 |
平成15(2003)年3月 | 国際セミナーの開催 |
平成17(2005)年4月 | 所長に友田泰正就任 |
平成21(2009)年4月 | 教育研究所の下部組織として「子ども発達科学研究センター」を設置 |
平成30(2018)年4月 | 所長に河合優年就任 |
令和6(2024)年4月 | 「武庫川女子大学教育総合研究所」に名称変更 所長に志水宏吉就任 |