研究部門

大学教育研究

担当:安東 由則

1.研究部門の概要

 大学教育研究部門は教育研究所の中核をなす部門であり、教育研究所の設置目的に従って、大学教育に関する基礎的・理論的研究、武庫川学院の教育及び諸施策に関する調査研究を実施し、その成果を発表してきました。本大学及び学院から要請があった研究テーマについては、調査に基づき報告と提言を行っています。

2.研究の紹介

  • 初期には、大学授業および授業中の私語/無語行動、大学における情報教育、生涯学習と大学などといったテーマを設定し、科学研究費を取得するなどしながら研究を行ってきました(1988〜97頃)。 
  • 独立の創設後は、夜間大学院や「臨床教育学」の展開をテーマに設定し、理論的裏付および実態についての調査研究を実施しました(1997~2003頃)。
  • 2004年からは、学院からの要請を受けて、「女子大学の存立意義」に関する研究に3ヵ年計画で取り組み、2007年に報告書としてまとめました。同時期、短期大学の可能性について調査・提言するようにとの学院からの要請を受け、短大生、高校、就職企業への調査を実施し、実態と改善の方向性を提言しました(高校及び企業への調査については、情報会社との共同調査として実施)。女子大学研究は、その後も継続して実施しており、その成果の一つとしてデータ集「女子大学統計・大学基礎統計」を研究所HPに掲載し、毎年更新を行っています。また、学院創設70周年の2009年には、本学出身者5名を招いてシンポジウム「女子大学で学ぶとは」を開催しました。
  • 2010年頃からは、女子大学、女子教育に関する国際比較研究に取り組んおり、今日も継続しています。研究員の科学研究費研究と連携して、アメリカや韓国における女子大学に関するデータ収集や現地で教職員へのインタビュー調査を実施し、そのまとめを『研究レポート』に掲載しています。(2012年には、アメリカの高等教育研究の第一人者であるW.K. Cummings教授を招いて、アメリカの大学授業について講演をしていただきました。)
  • 2012年・2013年度には、学長によって組織された「学生の自立を促す教育」のための調査・研究プロジェクトに参加し、大学・短大の全学生を対象とする「学習状況に関する調査」を実施し、分析を行いました。学内対象の依頼調査研究であり、調査・分析結果は『武庫川女子大学・武庫川女子大学短期大学部学習状況に関する調査結果報告書』(2013年1月)としてまとめられ、学内で配布されるとともに、分析結果を学内向けにプレゼンテーションをしました。
  • 2013年度からは、附属中学・高等学校についての今後の見通しや方向についての分析と提言を要請され、データの収集と分析、インタビュー調査、専門家による講演などを実施しました。少子化、共学志向の中、女子大学の附属学校としての魅力づくりについて事例を紹介と分析を行いました。これについても、収集した資料の分析を継続して行っていく予定です。

 上記の共同研究の成果は、『研究レポート』に掲載するとともに、「報告書」として『「女子大学の存立意義に関する貯砂研究」報告書』(2007年)、『武庫川女子大学「短期大学に関する調査」報告書』(2007年)、『武庫川学院の名称について:関連資料の収集と整理』(2011年)など冊子にまとめています。

3.諸活動

大学教育研究会

 2003年度から、大学教育に関する最新の情報を提供するという目的で第一線で活躍する専門家を招き、学内の教職員を対象に実施しています。毎年、現状を鑑みて今日においてふさわしいと考えるテーマを設定し、講師を決定しており、2019年度で19回を数えました。テーマによっては、教育研究所の研究員が講師となり、上記のような大学教育に関する共同研究として取り組んできた調査結果を報告しています。

 これまでのテーマ(抜粋)「今日の大学教育について」「中高一貫教育の現状と高大の接続について」「大学の危機、大学改革、そして女子大学」「アメリカにおける女子大学の現状分析と津田塾大学の取り組み」「21世紀の研究拠点としての女子大学における教育と研究」「大学と附属中学校・高校との連携のあり方」「私立附属中学校・高校における基礎学力向上の試み」など。

4.関連行事

  • 武庫川学院70周年記念シンポジウム 「女子大学で学ぶとは」
    2009年10月31日
    高橋裕子、本仲純子、木村泰子、稲村和子、佐守香里、伊覇ゆかり、安東由則
  • 武庫川学院80周年記念シンポジウム 「女子大学の未来を拓く」
    2019年10月5日
    坂東眞理子、瀬口和義、松本美奈、安東由則、押谷由夫 (以上、下線は研究員)